ワンス・アンド・フォーエバー

●ワンス・アンド・フォーエバー

監督:
  • ランダル・ウォレス(『仮面の男』)
出演:
  • メル・ギブソン(『ブレイブハート』)
  • マデリーン・ストウ(『クローン』)
  • バリー・ペッパー(『プライベート・ライアン』)
  • クリス・クライン(『ローラーボール』)



大凡作。大駄作。なんですか、これ。
オノ・ヨーコが「これは立派な反戦映画」と言ったとか(CMに使われたり)。私は印象としてそうは思えずに映画館に足を運びました。

実際、映画では「兵士は戦争の犠牲者だ」と言いかけたかもしれませんが言い切ったとはとてもいえません。所々にアメリカ本土で待つ妻や家族たちの描写や、軍上層部や政府のメンツ最優先の言動などを入れてはいますが、そのどれもが添え物程度で掘り下げは皆無。

ベトナム側の描写は『パール・ハーバー』の日本描写に比べればかなりマシながらも「人」として描いているとはとても言えないレベル止まり。反論ある方もいるでしょうが、唯一、恋人の写真を持つベトナム兵がマシな部分であり、その兵士の扱いの低さが全てを表していると思います。

ベトナム兵をゾンビやエイリアンの大群に見立てるがごとくの戦闘画面をただ映し出すだけに終始して、その上、原作者の1人である記者の視点も小さいときては作品の軸がまったく見えてきません。同系統の映画『ブラックホーク・ダウン』では監督の明確な発言こそ無かったもののソマリア介入という過ちの中で七転八倒するアメリカを笑う視点がありました。



監督曰く「これは愛と犠牲とリーダーシップの物語」であり、だから「ベトナムの話だとは考えていない」「戦争の話だとも思わない」んだそうです。だったらベトナムなんて扱うなと言いたいです。

結局、画面を埋めつくすのはボーイスカウト気分ばかり。いえ、間違った認識をしていたのは私の方なのかもしれません。アメリカ人にとっての軍隊とはボーイスカウトと同義の価値で成立しているのでしょう。私も別にそれを否定する気はありませんよ。しかし、戦争という存在をそんな安っぽい友情論で括ってもらっては困ります。



9・11NYテロは憎むべき犯罪ですが、その一番の罪はアメリカを被害者にしてしまったこと。ベトナム戦争をも肯定しようとするに至ってはまさに戦争の狂気そのものではないでしょうか。

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