明智光秀・神に愛されなかった男

●明智光秀・神に愛されなかった男

演出:
  • 西谷弘
脚本:
  • 十川誠志
出演:
  • 唐沢寿明
  • 柳葉敏郎
  • 長澤まさみ
  • 小西真奈美
  • 大泉洋
  • 谷原章介
  • 上川隆也



2007年1月3日フジテレビで放送された時代劇。
何故、明智光秀は《本能寺の変》を起こしたのか?──という切り口が面白そうだったので観たくなった次第。

そんなに時代劇などで見ているわけじゃないけれど、私が今まで抱いていた明智光秀のイメージはやっぱり「主君に弓引いた小猾い人間」でした。世間的にも「三日天下」という言葉が使われる時は「やっぱり悪は滅びる」的な感じだし。

そこを本作では光秀を「まじめで実直」な人物像に設定。まじめな性格で、民のために平和を望んでいたからこそ、光秀は信長を討つ決意をしたのだという解釈には説得力十分でした。

また、出世を争う羽柴秀吉(豊臣秀吉)とのライバル関係も、陰鬱としたものではなく、互いを知る内に良き友、良き理解者となるものとして描かれており、その上で、光秀が信長を討つ理由とそれを理解しているはずの秀吉が光秀を討つ理由が1本の線で繋がった時には唸りましたね。



勿体ないのが、これを2人の男の友情物語として昇華していたら傑作になったかもしれないということ。

タイトルこそ明智光秀ですが、着地点を見る限り、羽柴秀吉も対になる主人公の1人であるべき。それなのに物語全体における秀吉の比重が今ひとつ足りてません。

その原因は物語の骨格があくまでも「光秀とその妻・ひろ子」であるため(義理の息子を含めて「明智家物語」という感じか)。

冒頭ナレーションこそ石坂浩二ですが、劇中では長澤まさみによる光秀の妻・ひろ子のモノローグのようなナレーションになっていて、この物語が誰目線なのかを曖昧にしてしまってます(しかも長澤まさみがナレーションに向いてない)。

いや、エンドロール後ろの映像が「在りし日の光秀とひろ子」という点から、そもそもはひろ子主観で物語を構築しようとしていた節もなきにしもあらず。長澤まさみ人気の割り振りと『大奥』的な味付けであやかるつもりだったのか。そういう中途半端な企画主義でドラマを作るなってんだ。



あと大泉さんのキャスティングも謎。私、大泉さんのこと大好きですけど、何故、彼が唐沢寿明の息子役? 養子ということなので史実でも同じぐらいの年齢差だったのかもしれないけど、見た目は弟ぐらいが関の山。もっと普通にパッと見、息子だと感じられる人をキャスティングしてもいいんじゃなかろうか。

そもそも役者の年齢なんて実際の人物とは掛け離れてるんだから、ドラマとして不自然に感じさせないことこそがフィクションの中のリアルなんじゃないんでしょうか。

今からじゃ映像はどうしようもないけど、もしDVD化とかするつもりだったら、せめてナレーションを全て石坂浩二に変更しましょう。そうすれば長澤まさみの色が薄まって少しはバランスが良くなると思いますよ。



今までにない光秀像は一見の価値あり。
機会があったら是非。

★★★

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