CASSHERN

●CASSHERN

監督/撮影監督/編集/脚本:
  • 紀里谷和明(宇多田ヒカルPV演出)
出演:
  • 伊勢谷友介(『黄泉がえり』)
  • 麻生久美子(『回路』)
  • 寺尾聰(『雨あがる』)
  • 樋口可南子(『阿弥陀堂だより』)
  • 唐沢寿明(『ラヂオの時間』)
  • 宮迫博之(『13階段』)
  • 佐田真由美(『天使の牙』)
  • 要潤(『仮面ライダーアギト』)



《新造細胞》、それは人体の全てのパーツの代用が可能な驚異の細胞。東博士は不治の病の妻を助けるべく研究を発表するが、手を差し伸べたのは軍部だった。息子の鉄也は父親への反発から戦地へと赴くが戦死。謎の稲妻の飛来により新造細胞培養プールから生まれる新造人間たち。軍は有無を言わさず新造人間を排除した。からくも逃げ延びた4人の新造人間たちは山奥で反撃の狼煙をあげた……。


確かにこれは『新造人間キャシャーン』ではなく『CASSHERN』ですね。世界観・設定など、オリジナルの影はほとんど見えません(キャシャーン自体、アンドロイドではなく新造細胞で強化されたバイオロイド+筋肉抑圧スーツだし)が、そうした変更方向は純粋に肯定します。

映像は安いけど頑張ってます(ただ、想像してたより更に安かったですが)。紀里谷和明が持つ表現手段でまとめることで上手くごまかしたと思います。安い機材、狭いスタジオでのやり繰りといった日本映画の現状の中で頑張ったものとして感想書くときは好意的に書こうと思ってました……ええ、思ってましたよ。

しかし、映画としては稚拙すぎ。あれでは単なるPVやCF映像でしかありません。どの場面も映像を作ることのみで演出が演技をしておらず、本来、張り裂けんばかりの登場人物らの感情が私の胸にはまったく突き刺さってきませんでした(ミッチーだけかな? きちんとキャラが成立してたのは)。



キャラクター描写・ストーリー展開も、結局は『キャシャーン』という下地に頼っている部分が多く、それが無ければ単に舌ったらずな作品(出来が良ければそれはそれでありなのですが)。比較論は好きではないながら敢えてしますが、同様にTVを下地にした『仮面ライダー555/パラダイスロスト』には遠く及びません。

初めてキャシャーンがロボット軍団と戦う時、鉄也は何故戦おうと決意したのか。そこに至る感情の流れが皆無では破壊によるカタルシスなど生まれません。

所詮、映画監督ではないということか。
私も映画と思わなければ手放しで褒めますが。

たった一つの命を捨てて……じゃないね、こりゃ。無駄に捨てた命を意志に反して救い上げられてしまった形か。テーマの「命の罪は命でしか償えない」の副産物ですが、自分の意志で命を捨てる覚悟はやはり欲しかったかも(そういう意味では『スパイダーマン』に近いか。大いなる力には大いなる責任が伴うのだと徐々に理解するという)。

あと、名前だけのフレンダーや被らないヘルメット(のデザイン)などはファン向けサービスのフリしたお遊びに過ぎず。出さないなら『スターシップ・トゥルーパーズ』でパワードスーツ要素を排除したようにバッサリ切る方が作品にとっていいに決まってるのに。

努力賞。私の星は全てCG映像(を作った労力)に対してです。



……と、ここまで書いてからパンフを開きました。監督の言葉「CGや映像美を観に来られ……でも、この映画を観終わった時にそれが一番重要ではないんだと……」との一文。演出できてなきゃ駄目でしょ。確かに言いたいことは見えます。見えますが見えただけ。ドラマじゃない。ニュース映像にも出来ること(事実、ニュース映像の力を借りてるし)。そういや『Dの食卓2』ラストを思い出しましたが、映像作家ってこういう方向になるものなのかな?

★★

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