里見八犬伝(前・後編)

●里見八犬伝(前・後編)

原作:
  • 滝沢馬琴「南総里見八犬伝」
脚本:
  • 大森美香
演出:
  • 土井裕泰
出演:
  • 滝沢秀明
  • 佐藤隆太
  • 小澤征悦
  • 押尾学
  • 照英
  • 山田優
  • 勝地涼
  • 山下翔央
  • 綾瀬はるか
  • 仲間由紀恵
  • 菅野美穂
  • 渡部篤郎
  • 長塚京三



室町時代、安房国の武将・里見義実(よしざね)は悪政をしく領主を成敗するも、領主の妻・玉梓(たまずさ)は呪いの言葉を吐いて死んでいった。それ以後、安房国には陽が差さず、農作物もろくに育たぬ地に。そして戦乱に巻き込まれた里見家の伏姫(ふせひめ)は玉梓の亡霊から腹に犬を孕ませたと言われる。しかし伏姫は自害し、その呪いを祓うと、8つの玉が飛び散った……。

「孝」「義」「忠」「信」「悌」「智」「礼」「仁」

そして十数年後──「孝」の玉を持つ青年・犬塚信乃(しの)は、同じ伏姫の玉を持つ仲間を探す旅に出ることとなる……。


2006年正月に2夜連続で放送されたテレビスペシャル。

原作は未読、1983年の劇場版は面白かったという記憶のみで細かい内容を忘れているため比較話は出来ないのでご了承を。

そもそも本作は滝沢馬琴「南総里見八犬伝」が原作であって、1983年版はそれに新解釈を加えた蒲田敏夫「新・里見八犬伝」が原作だからまったくの別物だし。

本作は何かと「滝沢馬琴「南総里見八犬伝」原作」を強調している節あり。よっぽど過去作と比較されたくないようです。



印象はいたって普通のテレビドラマ。それに準じた画作り。これが1年間に渡るシリーズであったならそれでもいいけど、前後編合わせて正味4時間(放送時間5時間)では劇映画と同じ演出論が必要。

どうにも全体的に大河ドラマの総集編作品にしか見えない。エピソードは羅列されるばかり。演出は緩く、物語の密度も薄い。所々に入るナレーションによる状況説明が、ますます編集によるエピソードカットを補っているかの如く見えてしまう(実際、必要なエピソードが足りてないし)。

そもそもタッキーが牛若丸にしか見えないのは問題。でも大河ドラマ『義経』終わりでは仕方ないのか。あと、今年の大河ドラマ『功名が辻』主演の仲間由紀恵を出番は少ないけどポイントとなる伏姫役で出演させていて……。

……ん? そういや放送日は見事に両大河ドラマの間だ。これは偶然か? いや、ここまで大河っぽい画作りを見せられては、TBSは大河っぽい時代劇を作りたくて大河のイメージを2人から借りて作ったと見るべきか。やれやれ。



物語としては全て玉梓の逆恨み。「人の歴史は人殺しの歴史。自分たちはその歴史の中の一粒でしかない」などと理屈を口にしても、単に自分が欲深いだけ。逆恨みとはなんと手に負えないものか。己すら取り込まれるほどに。

だから最後の描写は彼女を哀れんでくれってことなのかな?
あれだけのことをしでかした人間を?
私にゃ無理ですわ。



余談。
個人的に心に残った場面は、信乃の婚約者・浜路(はまじ)が義父母に無理やり代官と結婚させられそうになるエピソードでのこと。浜路がいないことから、我を愚弄するのかと腹を立てた代官が義父母を斬りつける場面で、まず義父が斬られ、次は泉ピン子演じる義母に斬りかかろうという時──

「お代官様、アタシが浜路の代わりに」
「くされタヌキがぁ~」

バッサリ。
コントかよ(笑)
義父母は酷い人物だったし、泉ピン子のブサイクなアップからの絶妙な間で、悲惨に感じるよりも笑けちゃいました。



タイトル負けした平凡作。このレベルならそれこそ半年や1年かけて剣士1人1人を掘り下げた連続ドラマが見たかったです。

★★

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック