バトル・ロワイアルII/鎮魂歌《レクイエム》

●バトル・ロワイアルII/鎮魂歌《レクイエム》

監督:
  • 深作欣二(『蒲田行進曲』)
  • 深作健太
出演:
  • 藤原竜也(『仮面学園』)
  • 忍成修吾(『青い春』)
  • 酒井彩名(『新宿少年探偵団』)
  • 前田愛(『ガメラ3/邪神降臨』)
  • 加藤夏希(『燃えろ!!ロボコン』)
  • 柴木丈瑠(『百獣戦隊ガオレンジャー』)
  • 竹内力(『ミナミの帝王』)



前作でBR法から逃れた七原秋也(=藤原竜也)は逃亡の末、テロリストとなり「全ての大人に宣戦布告」をし、戦いを続けていた。そんなテロリスト組織に手を焼いた日本政府は新たな法律《BRII》を制定。「子供は子供同士で殺し合って下さい」と、1クラスの落ちこぼれ42人を強制的にテロリストのアジトへと送り込んだ……。


今回はさすがにちょっと設定に無理を感じました。
だって本気でテロリスト組織をなんとかしたいなら「2人ペア」「禁止地域」「物資の当たり外れ」なんてのはマイナス要因でしょう? とはいえ、大人たちは既に壊れていて完全にゲームをしているのだと解釈すれば、まあまあOKではありますけどね。

物語もBRII による殺し合いは序盤までで、中盤以降はこの日本社会、ひいては世界情勢を如何に若者たちが理解し、変わっていくかに費やされているので、タイトルに『バトル・ロワイアル』と冠していながらもその中身は似て非なるものでした。

劇中では七原秋也の口を借りて、かなり直接的にメッセージを訴えていますが、まさに本作は故・深作欣二監督がバトル・ロワイアル世界を借りて作ったオリジナル作品と言えるでしょう。

ただ、その余りにも台詞で語り過ぎる物語運びは少々冗長に感じます。でもまあ、あの冗長さは若い観客にきちんと理解してもらいたかった現れと言えなくもないですけどね(『ボウリング・フォー・コロンバイン』のように基礎知識の差が出るような形にしたくなかったとか)。



映画の規模は日本映画としては頑張っていると思います。序盤の上陸作戦は『プライベートライアン』の縮小版にしか見えない点はちょっと残念ですが、終盤の戦闘シーンなど、よくやってると思いますよ、ホント。

でも、やはりもう少しを期待してしまうのも事実。
これが深作健太という新人監督が一から作り上げたのなら、もう1ランク上の評価を持つ所ですが、故・深作欣二監督だったらもっと面白かったのでは?と、どうしても考えてしまうレベルなんですよね。

気になった点は、アメリカに空爆された国々の名は具体的に羅列しているのに、肝心な所でアメリカ自体は「あの国」としか言わないこと。まさか洒落ているつもりではないでしょうが、あそこはアメリカと言い切った方がいいと思うのですがね。メッセージが非常にハッキリしているのに言い回しが曖昧だと少々骨抜きに感じます。



この作品の日本は絵空事ですが、中にある大人社会は作品に沿った誇張はあるものの現実を映していると言えるでしょう。この国のシステムは駄目になろうとしているのです。

「勝ち組」と「負け組」……劇中でも引き合いに出されていますが、そもそも勝ち組、負け組って何なのでしょう? 私たちの社会とは、その2つで区切る物なのでしょうか? そのどちらでもない処にこそ社会の本質、根幹があるのではないでしょうか?

特別の意味を忘れてしまった日本。日常を失くした日本。アメリカ式の幻を追いかけて道に迷った国、日本。そろそろ我が家への帰路を探す時なのかもしれません(……なんて、仮にも大人となった自分への戒めも込めつつ)。



本作は映画としてはそれなりな出来ですが、考えるキッカケには使えるかと。故・深作欣二監督は前作時から「若者にこそ観て欲しい」と言ってましたが、この作品のメッセージを読み取れる人ならきっと大丈夫。でも、難点はR-15指定……意味無いじゃん。

★★★

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