SPL/狼よ静かに死ね

●SPL/狼よ静かに死ね

監督:
  • ウィルソン・イップ(『トランサー/霊幻警察』)
出演:
  • ドニー・イェン(『シャンハイ・ナイト』)
  • サモ・ハン(『80デイズ』)
  • サイモン・ヤム(『トゥームレイダー2』)
  • ウー・ジン(『超酔拳』)



SPL=殺破狼(シャ・ポー・ラン)とは、中国占星術で反乱を司る「七殺」「破軍」「貧狼」の3つの星を意味する──。

1994年香港。チャン捜査官率いる特別捜査班は黒社会を牛耳るポーを捕まえることができた。しかしポーの犯罪を証言する証人は家族もろともポーの手の者に殺されてしまう。チャン捜査官は唯一生き残った娘を養子にしたが不安もあった。それは証人殺害の衝突事故時に悪性の脳腫瘍が見つかったからだ。
3年後、病状の悪化からチャン捜査官は引退することに。後任として着任したのは殺人犯を拳一発で脳障害にさせたマー捜査官だったが……。


骨太香港アクションここにあり!
SFでもないコメディでもないファンタジーでもない歴史物でもない、まさに香港映画黄金期の刑事アクション映画が帰ってきた。

ドニー・イェンの殺陣は実に痛い。
ジャッキー・チェンやジェット・リーのように「ビシッ、バシッ!」と決まるのではなく「ゴスッ、メキッ!」と聞こえてくるよう。

クライマックスのドニー・イェンとサモ・ハンとの一騎討ちでは往年の香港アクションが見れるかと思っていたら、まるで昨今の総合格闘技のような殴り合いで度肝を抜かされる。まさに本作のコンセプト「ドラマの中にある感情の延長線上にあるアクション」を体現している。

ドニー・イェンは『マッハ!!!!!!』への対抗意識から本作を作り上げたという。トニー・ジャーのアクションは評価しながらも、映画の中のアクションの在り方に納得できなかったからである。香港アクション本家としての意地であろう。

クライマックス直前のドニー・イェンと敵の刺客(ナイフ使い)との死闘を見て、互いに細かいフェイントが入ったりして凄い殺陣だなぁと思っていたら、どうも現場で「2人は武術の達人なんでしょ? じゃあ闘って」と監督に言われた上でのほとんどリハーサルなしの対決だったそうな。それ知って納得、いや感動だよ。



「親と子」
黒社会のボス・ポーは妻が何度も流産した末にやっと得た子供がいる。チャン捜査官には養女。特別捜査班のメンバーも離れて暮らす娘、音信不通の親、チームの末っ子はチームを家族と感じていた節がある。

それは劇中の人物が単なる善玉悪玉ではないことを、現実の人の生き死ににはそれぞれの人生があるのだと改めて知らしめ、重要なバックボーンとして物語を支える。

でもドニー演じるマー捜査官が父親の話を語る部分は余分で、どうにも取ってつけた印象になっている。彼は元々部外者扱いなのだから親子関係は無い方が自然。それにマー捜査官は脳障害を負った男との関わりだけで刑事としての立脚点は十分でしょ。

序盤の展開で映画のラストカットが容易に想像できてしまうのもどうなんだろ。あの幕引きではマー捜査官の存在が中途半端だし。最終的なアレの対象をチャン捜査官にすればラストカットも変わって一石二鳥だと思うのですがどうでしょう?



まあ色々と細かいところをつついてはみたけど、でも全体的には面白かったのでチャラ! ドニーのアクションに酔え!

★★★★

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック