グエムル/漢江の怪物

●グエムル/漢江の怪物

監督/原案:
  • ポン・ジュノ(『殺人の追憶』)
出演:
  • ソン・ガンホ(『JSA』)
  • ペ・ドゥナ(『TUBE』)
  • ピョン・ヒボン(『火山高』)
  • パク・ヘイル(『殺人の追憶』)
  • コ・アソン



漢江(ハンガン)の河原で売店を営むパク親子。長男カンドゥはいつも居眠りばかりで妻にも逃げられていた。そんなカンドゥの娘ヒョンソはしっかり者の中学生。

その日、漢江に奇妙な生物が現れた。体長10メートルを超えるその怪物は河原にいた人間を次々と捕食していく。カンドゥはヒョンソの手を引いて逃げた……が、その手は別人のものだった。カンドゥの目の前で怪物に襲われるヒョンソ。怪物が逃亡した後、現場にいた人間はウィルス感染の恐れがあるとして隔離された。その最中、携帯電話が鳴る。それはヒョンソからのSOSの電話だった……。


うむぅ。
悪くはないけど期待したほどではなかった。

グエムルとは"怪物"の意。
しかし、本作は怪獣映画ではない。
怪物騒ぎに巻き込まれた低所得層家族が自分たちで一人娘を助けようと奔走する姿を描くドラマ。怪物はあくまでも家族に立ち塞がる具体的な障壁であり、それに立ち向かう中で家族の絆を再確認していくという筋立て。

とするなら、本作は怪物のキャラクターが目立ち過ぎている。
怪獣が画面に出ない怪獣映画『大怪獣東京に現わる』のように、この怪物の姿を極力画面の外に追いやり、人間のリアクションにこそ注視すべきだった。

娘をさらう尻尾だけとか、中で怪物が暴れているコンテナだけとか、吐き出される人間の骨だけとか、横切る影だけとかでその姿を観客の想像にまかせた方がドラマの本質に迫れたと思う。

最後の最後、薬剤の煙の中で初めて全身を見せれば十分、というか効果的でしょう。



逆に、怪物(怪獣)映画を基本フォーマットにしたかったとしたら、怪物を取り巻く状況設定に力が無さ過ぎた。その辺も含め、怪獣映画を作り慣れてないというか。

怪物は米軍の劇薬不法投棄が原因で川魚が突然変異したという設定で、作品全体も韓国人が抱く反米感情ありきで作られています。そのため、その感情の共有がないと映画として足りない部分があまりにも多い。

冒頭の米軍の不法投棄のステロタイプさや、怪物=ウィルスという嘘情報をわざわざ流して米軍が韓国に介入する意義の薄さなど、リアリティに乏しく、韓国人でない身ではどうしても無理やりアメリカを悪者に仕立てているようにしか見えない。

一応、現実世界での「核兵器保有という嘘情報でイラク侵攻をしたアメリカ」を揶揄しているらしいけど、きちんと設定して見せてくれないとただの身内受けで終わりです。



不満は色々あるけれど、最大の不満は娘を助けられないこと。パンフの寄稿文でも数人が書いてたけど、私もゲフッと水か魚を吐き出して「ビール」と言うかと期待してたのに無し。それならと主人公らの食卓に後からビールでも運んでくるかと思いきややっぱり無し。あのラストシーンに帰結するならやっぱり怪物と米軍と緩急と家族のバランスが悪い。とりあえず怪物の姿を隠すだけでも良くなると思うんだけど。



全体的にチグハグで怪物映画のくせに怪物を持て余してる印象。
一見の価値はあるけど楽しませる域にはもう一歩かな。

★★★

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