シルミド
●シルミド
監督:
韓国で33年もの間、封印されていた実話の映画化。
時代背景が1968年=昭和のまっただ中なので当然ですけど、まるで昭和の日本映画。序盤の搬送ボート上なんて、まるで東映ヤクザ映画のよう(「○○愚連隊」みたいなイメージ)。実に映画らしくて、もっと歴史物として真面目なトーンの作品と思っていただけにビックリ。
役者も昭和っぽい(って変な言い回しですな)。日本の役者でこんな顔見たことあるなぁって顔顔顔。中でもコメディリリーフキャラのイム・ウォニなんてアングルによっては石原裕次郎にクリソツだし。
現存するシルミド部隊の資料が少なく、人物描写は基本的にはフィクション(存命の方もいるそうですが)。しかし、だからこそ活き活きと描かれる登場人物たちによって、事件の生々しさが更に浮き彫りとなっています。
暗殺組織が作られるが政局が変わり無用の長物に成り下がり秘密裏に処分される……なんて話は物語として定番のネタながら、これが実話となるとなんと凄まじいことか。本作はフィクションだったとしても十分堪能できる作品。しかし、プラス「実話」の力はもの凄い。
今でこそ「善の南(韓国)」と「悪の北」という図式で朝鮮半島を見ていますが、実は南(の上層部)もちょっと前までは思想的に変わりなかったという事実。
北の視点で南の非道を捉えていた『二重スパイ』と違い、全てが南の中で語られる本作は更なる衝撃です。韓国3部作と(日本の宣伝で)括られる『シュリ』『JSA』の、南北双方の視点で構成されていたものとはまるで違う(※『二重スパイ』文参照)。完全なる自己(国)批判。娯楽性とテーマ性の両立。そう、まるでマイケル・ムーア監督作品のような。
ラスト、シルミド部隊資料がロッカーに封印される様は米映画でもペンタゴン内の資料庫の風景としてよくみる図。日本にもありそうな光景……いや、実際ある光景か。国は国の理屈で個を潰すのだ。
マジでお薦め。作品としては実話だろうがなんだろうが関係なく楽しめますし、歴史的事実への興味があればなおのこと。観ないと。
監督:
- カン・ウソク(『公共の敵』)
- ソル・ギョング(『ユリョン』)
- アン・ソンギ(『MUSA-武士-』)
- ホ・ジュノ(『リベラ・メ』)
- チョン・ジェヨン(『ガン&トークス』)
- カン・シニル(『友へ チング』)
1968年、極秘裏に死刑囚ら民間人31人が実尾島(=シルミド)に集められた。その目的は北朝鮮に潜入し《金日成》を暗殺すること。そのための暗殺部隊を作ることだった。集められた者たちは、この任務を果たし犯罪者人生から抜け出したい一心で過酷な訓練に耐えていた。そして、遂に作戦決行の日。しかし、作戦は突然中止に。時代は融和政策へと傾いていたのだ。もはやシルミド部隊は政府にとって邪魔な存在でしかなくなっていた……。
韓国で33年もの間、封印されていた実話の映画化。
時代背景が1968年=昭和のまっただ中なので当然ですけど、まるで昭和の日本映画。序盤の搬送ボート上なんて、まるで東映ヤクザ映画のよう(「○○愚連隊」みたいなイメージ)。実に映画らしくて、もっと歴史物として真面目なトーンの作品と思っていただけにビックリ。
役者も昭和っぽい(って変な言い回しですな)。日本の役者でこんな顔見たことあるなぁって顔顔顔。中でもコメディリリーフキャラのイム・ウォニなんてアングルによっては石原裕次郎にクリソツだし。
現存するシルミド部隊の資料が少なく、人物描写は基本的にはフィクション(存命の方もいるそうですが)。しかし、だからこそ活き活きと描かれる登場人物たちによって、事件の生々しさが更に浮き彫りとなっています。
暗殺組織が作られるが政局が変わり無用の長物に成り下がり秘密裏に処分される……なんて話は物語として定番のネタながら、これが実話となるとなんと凄まじいことか。本作はフィクションだったとしても十分堪能できる作品。しかし、プラス「実話」の力はもの凄い。
今でこそ「善の南(韓国)」と「悪の北」という図式で朝鮮半島を見ていますが、実は南(の上層部)もちょっと前までは思想的に変わりなかったという事実。
北の視点で南の非道を捉えていた『二重スパイ』と違い、全てが南の中で語られる本作は更なる衝撃です。韓国3部作と(日本の宣伝で)括られる『シュリ』『JSA』の、南北双方の視点で構成されていたものとはまるで違う(※『二重スパイ』文参照)。完全なる自己(国)批判。娯楽性とテーマ性の両立。そう、まるでマイケル・ムーア監督作品のような。
ラスト、シルミド部隊資料がロッカーに封印される様は米映画でもペンタゴン内の資料庫の風景としてよくみる図。日本にもありそうな光景……いや、実際ある光景か。国は国の理屈で個を潰すのだ。
マジでお薦め。作品としては実話だろうがなんだろうが関係なく楽しめますし、歴史的事実への興味があればなおのこと。観ないと。
★★★★★
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