悪女の構図

●ブラック・ウィドー

監督:
  • ボブ・ラファエルソン
出演:
  • デブラ・ウィンガー
  • テレサ・ラッセル
  • サミー・フレイ
  • デニス・ホッパー
  • ニコル・ウィリアムソン



慌ただしく旅行先から1人の女性が帰ってきた。名はキャサリン。出版王だった夫が心不全で突然亡くなったのだ。部屋で1人悲しみに暮れるキャサリン……。

司法省の女性捜査官アレックスは、マフィアのボスが呼吸停止という自然死で死んだことに疑問を持ち、同様の案件を調べた。だが検索されたのは1件だけ、マフィアとは縁もゆかりもないニューヨークの出版王の1年前のケースが見つかっただけだった。同僚はそれを「オンディーヌの呪い」と揶揄した。

テキサス州の玩具メーカー社長夫人のマリエルは貸し金庫内でワインに何かを混入していた。そしてマリエルが旅行から帰ると社長は死亡していた。遺言状からは社長の親族の名は外されており、遺産は全てマリエル1人が受け取ることになっていた。

アレックスの同僚が気を利かせて「オンディーヌの呪い」の話を持ってきた。それはテキサスの玩具会社社長の突然死。先の出版王と同じ新婚の若い未亡人というキーワードにハッとするアレックス。

もしや、この女性たちは同一人物なのではないか……?


まず物語概要が長くなってしまってすいません。
でも本作のキモはもっと先にあるので、実はもう少し書いときたいぐらいだったりしますが。



ここまで実にテンポがいい。開始15分で深く静かに犯罪が進行している様を見せつつ、徐々にそれを事件だと認識していく女性捜査官も折り込まれてます。時間経過が少々分かりにくかったけど、テレビ放送用のカット(およそ10分)の影響もあったと思うので割愛。

キャサリンは帰宅後にウィスキーを洗面所に流す疑惑の行動があったけど、その後、部屋で1人涙を流していたため、演じるテレサ・ラッセルが見事に変化したマリエル登場の時点では、ここまでどういう展開なのかが隠されている。うまいね。

その後、マリエル(キャサリン)はマーガレットと名乗り、シアトルの博物館の理事長に接近するためにコインの知識を身に付ける。ここで、キャサリンは狙った相手に合わせて用意周到に準備をするのだと分かる。この女の闇の深さを見せつけられるのである。

そしてアレックスは情報分析の結果、事件が起こる前にマーガレットにたどり着く。しかし、証拠がないために警察は動いてくれない。このまごつき方はありふれた展開でちょっと勢いが止まる。ただし、後にこの理事長と会う機会があったのに助けられなかったことを悔やむことから物語がガラッと動き出すので必要な溜めだったとも言える。

そして中盤、アレックスは自責の念もあって職場を辞め、キャサリンを追ってハワイへと飛ぶ。正直、都会的捜査官物が展開していくと思っていただけにビックリ(20年前の映画だし、こういうリゾート舞台も映画の娯楽要素だった時代の名残りか?)。

2人の女性の心理戦が本作のメインで、その舞台がハワイだったということ。キャサリンは自分に自然に近付いてきたアレックスをきちんと警戒するという緊張感の維持も出来ている。この事件の顛末は……ご自分の目でどうぞ。



画面に必要以上の情報を映さずに最期まで見せきった。サスペンスはかくありき。最近観た某駄大作の懇切丁寧な作りの馬鹿馬鹿しさを再確認した次第です。

★★★★

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