千年女優

●千年女優

監督:
  • 今敏(『PERFECT BLUE』)
出演:
  • 折笠富美子
  • 小山茉美
  • 荘司美代子
  • 飯塚昭三
  • 小野坂昌也



面白かったです。面白かったですけど……なんだろう? とても不思議な感覚でした。「騙し絵のような映画」と監督が言っていますが本当にそんな感じ。

物語は往年の大女優「藤原千代子」が、ある《鍵》との再会からその鍵にまつわる思い出を語る形で進みます。

しかし、ただ回想シーンが綴られるのではなく、インタビューをしている立花(=鍵を持ってきた千代子の大ファンの制作会社社長)とカメラマンの井田までもが回想の中に存在し、直接、千代子の思い出を体験します。
しかも、話が進むにつれて立花は回想シーンの傍観者の枠を越えて出演者の一人になったりもする始末。

その回想シーンも、千代子の「実体験」と「出演した映画」がまったく同列に並べられ、様々なレベルの《虚》と《実》が入り乱れまくりです。

本作のようなリアル系の作画作品は「アニメで作る必要性」を問われがちですが、この虚実と過去と現在と未来の全てを「同一の時間に錯覚させる」ことはアニメでしか出来なかったことだと思います(単純に千代子の年齢の推移を自然に見せる事だけでも)。

(ちなみに監督の前作『PERFECT BLUE』も実写で撮れるのでは?と言われた作品でしたが、「アイドルの幻影が幻影のまま実在する」という感覚は実写では到底出せないものだと思うのですがね)



本作は一人の女性の人生を時間を追って見るのではなく、彼女の心の中の人生を包括的に感じる映画だと思います。アニメを普段見ない人にもお勧めしたいですね。

★★★★★

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