ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟

●ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟

監督/特技監督:
  • 小中和哉(『ULTRAMAN』)
出演:
  • 五十嵐隼士
  • 黒部進(『ウルトラマン』)
  • 森次晃嗣(『ウルトラセブン』)
  • 団時朗(『帰ってきたウルトラマン』)
  • 高峰圭二(『ウルトラマンA』)
  • 田中碧海
  • いとうあいこ(『爆竜戦隊アバレンジャー』)



20年前、マン、セブン、新マン、エースの4人は自らの光の力と引き換えにヤプールの怨念から生まれた究極超獣《Uキラーザウルス》を神戸沖に封印した。変身する力をほとんど失った4人は、その後、地球人として生きるのだった。

その日、ミライは嫌な予感を感じ、神戸へと調査にやってきた。そこで1人の少年と出会う。メビウスやGUYSに憧れていたその少年は怪獣の脅威と愛犬を見捨ててしまったことがトラウマとなって心を閉ざしていた。その頃、神戸上空には秘かに宇宙人連合の宇宙船が侵入していた。その目的は封印されているUキラーザウルスを復活させること。その邪魔となるメビウスを排除しようとテンペラー星人が先陣を切ってきた……!


観たかったウルトラ映画がここに!

「信じる力が勇気になる」
勇気をなくした少年を軸に、この真っ直ぐなメッセージをウルトラ兄弟という絆で見せきった傑作!

少年はミライの言葉とウルトラ兄弟たちの諦めない心から勇気を貰い、ミライもまた少年の勇気から諦めない心を取り戻す。もう涙が止まりませんでしたよ。……やば、またうるうるしてきた。

しかし、マン、セブン、新マン、エースがずっと地球で暮らしていたなんて。そうか、これでTV版メビウスの初回でハッキリと姿を出していたのがマイナーな80やレオらだけだった謎が解けました。

4人の地球での姿をオリジナルキャストの面々が演じていて説得力抜群です。ミライを囲むその姿は『ウルトラマンタロウ』でのバーベキューの回を彷佛とさせます(監督の意図もそこにあった模様)。

ウルトラマンらは2万歳なのに4人が地球上で年齢を重ねていたのは、それ相応の外見の変化がなければやはり怪しまれるからでしょうか。最後の姿などを見ると、きっと彼らは地球人としての寿命を全うしようとしているんでしょうね(その後、光の国に帰るつもりと見ました)。

惜しむらくは東光太郎(演:篠田三郎)がいなかったこと。タロウが好きだったので素顔のウルトラ5兄弟勢揃いが実現しなかったのはちょっと残念。とはいえ、シナリオ的にはタロウは光の国の教官(メビウスの先生)という設定で、素顔の登場がなくても矛盾がない作りになっているのは上手いです。



ウルトラ兄弟に対抗できる相手、ということで敵は歴代のウルトラ戦士を苦しめた宇宙人たちというのもGOOD。直感的に強敵と認識させてくれます(※大人には(笑))。

偽ウルトラマンに化けた《ザラブ星人》
セブンをはりつけにした《ガッツ星人》
新マン暗殺を企てた《ナックル星人》
ウルトラ6兄弟を全滅しようとした《テンペラー星人》

そして本作の要はエース最大の敵《ヤプール》であり、その怨念が生み出した《Uキラーザウルス》は《エースキラー》の発展形(※U=ウルトラの略)という設定。

十字架というモチーフもガッツ星人やエースキラーなどの回の象徴だし、もはやウルトラシリーズ最新作として完璧です。




本作は懐古趣味だとかなんとか言われてますが、でも、実は平成ウルトラとして復活して以降は昔のウルトラシリーズとは隔絶されていたわけで。もう一つのシリーズの可能性=続編としてのウルトラマンというものは意図的に避けられていたように思います。

まあ、過去の資産に安易にあぐらをかくことへの警戒心が、長い間、作り手にも受け手にもあったのも事実でしょう。そんな中で本作の企画も「過去の総括」か「未来への新作」かの選択があったそうな(新作で企画を進めてもスタッフのモチベーションが上がらずに現在の形になったとか)。

でも本作(TVシリーズ含む)は、過去シリーズの資産を懐古的に扱うのではなく、それらを地盤とした新しい作品へと昇華させています。避けるのではない。懐古的な再現でもない。如何に現代に再構築するかという前向きさこそが『ウルトラマンメビウス』なのです。

懐古的な映画が多い昨今、本作もその流れの上にあると思われがちですが、本作は「現在は過去と地続きであり、さらに未来はその先にある」という"今"に立つ作品。「ウルトラ兄弟」の登場に胸躍らせていたあの気持ちを今の子供たちにも感じてほしい。そこには日本が過去に捨ててきた「心の時間軸」があると思うから。



最後、大空に描かれたウルトラサイン。
そういえば子供の頃、空を見上げてはウルトラサインを探していたことをふと思い出しました。

TVシリーズ共々、是非!

★★★★★

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