ザ・チャイルド

●ザ・チャイルド

監督:
  • ナルシソ・イバニエス・セラドール(『象牙色のアイドル』)
出演:
  • ルイス・フィアンダー(『合言葉は勇気』)
  • プルネラ・ランサム(『荒野に生きる』)



バカンスを楽しむ人々で溢れかえるスペインの海岸に女性の死体が打ち上げられた。時を同じくして生物学者のトムは妊娠中の妻と旅行に来ていた。2人は街の喧騒から逃れて沖の小島へと向かうが、そこには港に子供がいるだけで町のどこにも大人の姿が見えなかった……。


※今回は全体的にネタバレ注意で。

「WHO CAN KILL A CHILD?(誰が子供を殺せるか?)」

子供たちが理由もなく大人たちを殺す不条理スリラー。
オープニングのこれでもかというぐらいの残酷な記録映像のオンパレードは、これから自分は嫌なものを観るのだという覚悟を容易にさせてくれます。う~ん、いかにも70年代的。

実に淡々と時間は流れ、派手なショック描写もスプラッター描写もありませんが、その静けさは観ている者を登場人物同様の視点に置き、精神的な不安を駆り立てます。

子供の無邪気さの暴力性。
集団性の恐怖。

本作の語り口は、大人の世界の犠牲になるのはいつも子供たちであり、まるでそんな大人たちにこの世界が復讐を開始したのかもしれないと揶揄しているようでもあり。

それを今の世に観てみると、これがまったくの絵空事にも感じられない恐怖。まるで映画の子供たちの遊びが徐々に流行っていったかのようにこの世界はどこかズレてしまったようにも思えたり。

ホラー映画の隠れた逸品(いや、その筋では有名なんですけど)。
この手の70年代の映画は独特のパワーを持っているので、未見の方は是非一度お試しを。



閑話休題。



本作は私にとっては『情婦』同様「あれは何という作品だったのだろうか?」と長らく考えていた作品の1つだったりします。

正確には本作のコミカライズ作品の記憶が主で(昔は洋画のコミカライズというものが雑誌の定番企画としてあったのです)、本作も確か桜多吾作氏の手で描かれていたと記憶してます。

そのインパクトは強烈で、内容も夫婦が無人の町を訪れる所から子供が襲ってくるまでがよく整理されていたとおぼろげながら覚えていますが、特筆すべきは「赤ん坊が母親の腹を内側から破って出てくる」という漫画ならではの演出でしょう。夫の死に方も実際の映画では表現したくても予算や技術的問題で出来なかったであろう「額を打ち抜かれる」という効果的な見せ方で、ラストのやるせなさも倍増でした

※スティングレイから発売された「30周年特別版DVD」を購入。封入の桜多吾作氏のコミック版を読み返したら、まったく突き破ってなどいませんでした(汗)。額への銃弾も映画とほぼ同じ描写。どうやら他の作品とごっちゃになっていたみたいです。なにぶん、古い記憶なのでご容赦のほどを。

そして大人になってからはず~っと元ネタの映画を探す日々。

一応、題名に「チャイルド」が付いていたような気はしていたので、スティーヴン・キング原作の『ザ・チャイルド』とか『チルドレン・オブ・ザ・コーン』などを観てはガッカリといった感じでした。

そしてある日、映画秘宝「悪趣味洋画劇場」と出会い、ハッキリと内容を確認。映像ソフト化されていないため実物は観れませんでしたが、長年の思いが晴れてスッキリ。

そして2001年に待望のDVDリリース情報です。

世界で日本だけです。

発売日に即ゲットです。

それで満足してそのまま棚の肥やしです(笑)。

今回、同じく記憶から引きずり出した『情婦』の感想を書くにあたり、せっかくなのでこちらもちゃんと観たという次第でした。



ちなみにこの監督、劇場作品は2本しか撮っていなくて、その後は主にTVで活躍していたらしく、ぱったり名前を見ていませんでしたが、最近《スパニッシュ・ホラー・プロジェクト》というオムニバスTVシリーズを企画、『産婦人科』というエピソードを監督したらしく、発売されたDVDパッケージに久しぶりにその名前を見かけてビックリしたという後日談もあったりして。

★★★★

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