ソウ3

●ソウ3

監督:
  • ダーレン・リン・バウズマン(『ソウ2』)
製作総指揮/原案:
  • ジェームズ・ワン(『ソウ』監督)
製作総指揮/原案/脚本:
  • リー・ワネル(『ソウ』脚本)
出演:
  • トビン・ベル(『ソウ』)
  • ショウニー・スミス(『ソウ』)
  • ダイナ・メイヤー(『ソウ』)
  • アンガス・マクファデン(『ブレイブハート』)
  • バハール・スーメキ(『クラッシュ』)



夫との関係がギクシャクしている女医リンが拉致誘拐された。ジグソウの命を一時長らえさせるためにアマンダがジグソウに言われ連れてきたのだ。彼女の首にジグソウの心拍とリンクした爆弾が装着された……。

息子を飲酒運転の交通事故で亡くし、その復讐に取り憑かれ、家庭が壊れかけている男ジェフ。目覚めるとそこは見知らぬ場所。ジグソウのテープレコーダーが鳴る。目当ての男にたどり着きたければドアを開けろと。そこでは事故の証言を拒んだ目撃者、軽い刑をくだした判事たちが悲惨な目にあっていた……。


……ほう、これは続編としてお見事。

最初に言っておきますが、本作は絶っ対に1作目、2作目を観てから観ること。シリーズ物だから当然のこととはいえ、これほどまでに3部作としての意味合いが強い作品はありません。

本作の構造を形成する上で、前作までに繰り広げられた数々の状況の舞台裏が描写されています。ネタバレです。なのでこの感想も前2作に関わる部分はネタバレしているので未見の方はご注意を。



まず、本シリーズにずっと関わる女刑事ケリーが冒頭の事件の手口が今までのジグソウとは違うことを指摘します。続く事件ではさらに理不尽な狂気でしかない有り様。前作でアマンダが2代目ジグソウとなったことはハッキリしたわけですが、どうやら彼女はジグソウとしての美学など身に付けていなかった模様です(所詮は逆恨みの美学ですが)。

ここまで観て私は「あぁ、やはりハリウッドシステムはジェイソンやフレディが辿ったように、ジグソウをもただの殺人鬼キャラに貶めてしまったのか」とガッカリしました……が、実はここが本作の出発点(ネタバレになるのでこれ以上書けないけど)。

ちなみに宣伝では、「1人の男が閉じ込められ、恨む相手3人を処刑するかどうかをジグソウ提供のゲームの中で問われる」という部分しか紹介されてなかったので、この理不尽な殺人鬼と相まって、ホラーによく見る形骸化した続編作品になったかと思いました。

しかも、このあとソリッド・シチュエーション・スリラーはすぐには展開せず、女医リンの拉致誘拐からジグソウ側のドラマが始まります。しかし、この代物も殺人鬼メロドラマの様相を呈しており、正直、この時点でも本作がどういう方向に精度を落とした続編作品なのかが掴めないという感想しか出ません。



そして、やっと宣伝にもあった息子を亡くした男ジェフの復讐心のゲームが始まります。ジグソウが女医を呼んだのは、このゲームを見届ける時間が必要だったからですが、そのためジェフがゲームをクリアするごとにそれをチェックするアマンダへと描写が移り、それに伴いジグソウらのメロドラマも平行して描かれるという構造に。

ここがポイント。

この二重構造の意味を見い出した時、やっと本作を評価できました。ただし、一番最後のアレは読みようもなかったけど、その手前のアマンダ絡みのアレはちょっと読めすぎてしまうのがもったいない。もう少しバレない工夫が欲しかったかな?

でも、全体的には非常に上手く構成されていて、ジグソウの見事な人間ピタゴラスイッチの構築にはある意味感嘆です。私はかなり進むまで"彼ら"の関係性に気付かなかったですしね。



今回は1作目のリー・ワネルが脚本を担当し、監督は2作目のダーレン・リン・バウズマンが続投するというソウシリーズにとって私的には最強布陣。当然の満足感でしたね(もし1作目もバウズマンが監督してたら私的には良かったんですが)。

こういったシリーズ物の常套ではナンバーを重ねるごとに本質が拡散してしまうところを、まさかの1作目への帰結を奥底に隠し持たせ、実に濃厚なソリッド感を維持、かつシリーズとして芳醇にした傑作。痛ぁ~い描写に拒否反応がなければ是非。お勧めです。



さて、あの顛末では「3部作完結」となるところ(解決させていない部分もありますが)ですが、あの顛末からの続編『4』というものを期待してしまっている自分がいたりして。期待!

★★★★

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック