007/ダイ・アナザー・デイ

●007/ダイ・アナザー・デイ

監督:
  • リー・タマホリ(『スパイダー』)
出演:
  • ピアース・ブロスナン(『テイラー・オブ・パナマ』)
  • ハル・ベリー(『チョコレート』)



何で、この時期に北朝鮮を舞台にするかなぁ。確かに北朝鮮全体を悪役にしているわけではなく、若い強行派の暴走でしかないとはいえ、不謹慎極まりないです。

その辺の設定抜きなら非常に面白い『007』なんですけどね。ハル・ベリーのボンドガールは王道と新鮮さを合わせ持っていますし、スパイグッズやアストンマーチンの活躍はケレン味たっぷりで娯楽作として合格点です。



『007』には現実世界は似合いません。ジェームズ・ボンドは秘密結社スペクター等が暗躍している世界に生きるスーパーヒーローであり、作品に現在の世界情勢を取り入れる必要があったとしても、かすかに「中東の某国」とか「東洋のQ国」といった感じで雰囲気を匂わす程度で十分。

なのに、本作は中途半端な現実感の挿入で台無しです。いえ、そもそも作り手たちは北朝鮮に現実感なんて求めてはいないかもしれませんね。西洋人にとって北朝鮮問題なんて世界の端で起こった「ネタ」にすぎないんでしょう。

北朝鮮のハイテク装備描写など、隣国に住む我々から見れば有り得ないと分かること。つまりは北朝鮮を単純に以前のソ連代わりにしたということです(例:『ロッキー4』のソ連のハイテクトレーニング風景)。まさに西洋人の無配慮の為せる業です。

監督は『007』を現実世界のスパイとしてリアルに描きたかったようなことを言ってますが、エッセンス程度でそんな大口叩かれても困っちゃいます。北朝鮮を扱う事実よりも、北朝鮮を架空の秘密結社と同義に捉えている傲慢さの方がよっぽど問題です。



単純に割り切って観ればいいじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、私はどうしてもスカッとはしないですね。かえすがえすも残念としか言いようがありません。

いつか本作を笑って観れる時代が来る事を願って。

★★★

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