韓流『シティーハンター in seoul』

北条司原作『シティーハンター』が韓国で実写ドラマ化

この情報を耳にしたのはもう随分前ですが、その時に主演のイ・ミンホを見て、これは冴羽りょうには若すぎるのできっとイメージじゃないものになりそうだなぁなどと思っていましたが、いざ出来上がったものを見てみたらそんな甘いものじゃなかった。

フジテレビの韓流α枠(月~金/昼2:07)で放送されるというので『シティーハンター』は原作もアニメもジャッキー・チェンの映画も見ていた身としてはチェックせねばなるまいと毎回録画予約したわけですが、タイトルがシティーハンターである以外、全て別物という凄まじさです。



物語は韓国の一部上層部5名からなる「5人会」が感情に任せて北朝鮮に工作部隊を送りこむところから始まり、ところがそれが発覚してしまうと自分たちの立場が危うくなることから隊員らを全員射殺させ、その事実を隠蔽するという展開。これなんていう『シルミド』

ただ1人生き残った男・ジンピョは死んだ親友の妻の元を訪れ、妻の幸せのためだと書き置きを残して生まれたばかりの赤ん坊を連れ去る。肯定的に見れば新たな人生を生きろという意味かもしれないけど、あの場面では子供が唯一の心の拠り所だろうに(後のジンピョを見るとますますもって自分勝手でしかない)。

そして時は流れて17年、ジンピョはどこぞのジャングルでテロリスト村みたいなものをこしらえて、その赤ん坊を銃器の扱える青年(ユンソン)に育てていた。そんなある日、村が襲撃を受けてジンピョは死にかけ、今際の際にユンソンに自分の本当の息子ではないと告白。真相を知った主人公はそこから猛特訓を始めて暗殺者として一流に。ついでにマサチューセッツ工科大学にも入って博士号を取得。7年後、その経歴をもって韓国で国家地図情報網チームに入り、かつての上層部5人への復讐を開始する。

……とまあ、シティーハンターである必要が爪の先ほどもない内容。

暗殺者で金持ちで博士号取得といった超展開には変な笑いしか出ませんけど、序盤はシティーハンター誕生物語的な「エピソード0」みたいに見れなくもないので許容しようかと思ったら、主人公が孤独の復讐者になるどころか育ての親であるジンピョは真相を告白した後も生きており、主人公に復讐についてあれこれ指示してきます。なんだこれ。



それでもせめて復讐劇で走りきるかと思いきや、キム・ナナというヒロインと、それを気にかけるエリート検事と、その元カノの獣医という四角関係を盛り込み、主人公は犬猿の仲となったナナに何故か惹かれていくという典型的な韓流ラブコメ要素が大半を占める作りになっとります。

主人公は金持ち自由人タイプで、ヒロインは父親が入院していて貧乏で性格は感情的で、そんなヒロインを見守るエリートタイプの男がいて、ヒロインを挟んで2人の男が互いに世話焼き合いを繰り広げる。ちなみにエリートタイプ男の元カノはやはり自信家タイプ。そして主人公とヒロインが契約書を作った上での同居生活をはじめるに至っては飽きたというより呆れてしまった。(過去記事参照

シティーハンター成分はといえば、1人目のターゲットを検察に引き渡した謎の人物について世間がシティーハンターと呼称しただけ。あとは主人公の服装がほぼU首のTシャツの上にジャケットを直に羽織っていることぐらいでしょうか。



この際、シティーハンターであることを忘れて見てみよう

……そう思って見るも出来の悪い復讐ドラマでしかない。

赤ん坊を連れ去る意味がそもそも解らず、しかも「母親に捨てられた」と主人公に嘘を吹き込むジンピョ。お前が主人公と母親を不幸にしてるやないか。復讐の手駒として赤ん坊を育てるぐらいなら17年の間にお前がやれよと言いたくなる。

ジンピョは片足が不自由なので実行はできないのかと思いきや、命を奪わず社会的な抹殺方法をとる主人公にキレて、だったら自分が殺ると韓国に乗り込んでくる。てっきり顔が割れているとかで韓国に入国できないのかと思ったのに。さらにジンピョは死んだ仲間の弟に真相を話して部下にする。ますます主人公を暗殺者に育てた意味がありません。

5人会のメンバーの素性は1人だけしか分かっていないのにその1人を殺せと命じるジンピョ。「殺した後に残り4人を探す」って頭悪すぎ。普通はその1人から情報を得るべきでしょ。そもそも17年+7年の時間があったのに情報を集めてないのかって話。

主人公は自分の痕跡を残しすぎで、眼鏡をかけたり帽子を被っただけで正体を隠せているのは奇跡的。当然ながら簡単に疑われているし。7話目までにこなした仕事は1人目のみで、ラブコメ展開の水増しで復讐の段取りの雑さが強調されている始末。

やり口はシティーハンターじゃなくてハングマンだよね。



総評としてはよくある韓流テンプレドラマ

テンプレの「韓流復讐劇+韓流ラブコメ」のシナリオが先にあり、そこにシティーハンターというタイトルをあてがっただけの代物。原作へのリスペクトはゼロ。これを面白いと思う人は韓流に毒されすぎ。普通はこれだけのテンプレを見せられれば飽きます。

そういえば『赤ちゃんと僕』が韓国で実写映画化されるという話で、後にタイトルが同じだけで漫画とは別物だと言った話を思い出してしまった。あれって想像するに元々は漫画原作で話を作ったけど中身が別物になったから契約前なら原作無しの方が金が掛からないとかなんとかいう思惑が裏であったんじゃなかろうかと思ってるんですけど。

今回は中身が別物でも契約済みだったから原作名が外されなかったとかそんな気がしてなりませんな。



【余談】
ジャッキー・チェンの映画は当時原作ファンにはいまいち不評だったけど本作を見たら再評価してくれるんじゃなかろうか。私は原作もジャッキーも好きだったので成龍版としてめちゃくちゃ楽しんだクチです。

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この記事へのコメント

MAYMAR
2012年02月26日 21:50
こんばんは。
ジャッキーの日本語吹き替え版DVDが発売されましたので、レビュー期待していますw
2012年02月27日 21:10

>MAYMARさん

ええっ!? 慌てて検索しました。
発売されれば話題になるタイトルなのでリリース情報が耳に入らないはずはないと思っていたらまさか1コイン物とは。
かなり著作権的にギリギリな代物のようで仕様も雑みたいですね。
VHSを持っているだけに微妙なところですが見掛けたら買うかも

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