リーピング

●リーピング

監督:
  • スティーヴン・ホプキンス(『プレデター2』)
出演:
  • ヒラリー・スワンク(『ミリオンダラー・ベイビー』)
  • デヴィッド・モリシー
  • アナソフィア・ロブ
  • イドリス・エルバ

世の「神の奇跡」を科学的に解明する科学者キャサリン。かつては宣教師だったが夫と娘が生け贄として殺されたことから無神論者となっていた。そんな彼女の元にある田舎町で起こる超常現象の調査の依頼が来る。そこではローレンという少女が兄を殺してから川の水が赤く染まったのだという。その後も「十の災い」と符合する事象が次々と起こっていく。ローレンは本当にサタンなのか……?


2007年公開。ちなみに公開当時のキャッチコピー「イナゴ少女、現る」はイナゴの大群の映像と相まって今でも記憶に残るほどキャッチーながら実際の本編では終盤のワンシーンに過ぎず。でも昔の東宝東和予告みたいなノリは嫌いじゃないです。



本作はオカルト、とりわけ露骨な宗教映画。大筋は無神論者が神の奇跡を目の当たりにして神を信じるようになるお話。

宗教映画(ハリウッド的に主にキリスト教)は一般的な日本人にはピンとこない。アチラの言うGODは日本語で言うKAMIではないから(創造主≠神)。これは日本の八百万の神のような概念がアチラで理解されにくいのと同じなので仕方ない。

キャサリンは無神論者というよりも「神を嫌う者」だ。神の存在を心の奥底に押し込めて神を否定しているに過ぎない。いわゆる大槻教授のような日本的無神論者が神の奇跡で「改心」するのとも違う。米ドラマを見ているとどんな科学者キャラであろうともキリスト教的概念を絶対に否定はさせない。それほどまでにアメリカ人の価値観の土台なのだ。



『TRICK』に代表されるように神による超常現象はエセと解明されてナンボなのが日本。外界から孤立した町が舞台となればヒルビリー・ホラーを期待したくなる。次々と起こる十の災いが住民が仕組んだこと(科学的根拠のあるもの)であったなら、物語ももう少しメリハリがついて面白かったかもしれない。

主人公をミスリードして目的を達成しようとするプロットは『ウィッカーマン』を彷彿させるも、神や悪魔を概念以上に描くことなく真に恐ろしいのは狂気にとらわれた人間だとする同作に対し、神や悪魔の存在をストレートに描く本作はさながらサンタクロースを虚構と描けなくなった子供向けアニメに似ている。

《以下ネタバレ注意》
天使である少女ローレンは悪魔崇拝者では殺すことが出来ず、さらに神の御業=十の災いが町を襲い始めたので元聖職者であるキャサリンを超常現象の調査と称して町に呼び、ローレン=サタンだと誤解するように仕向けて彼女に殺させようとした、という真相は宗教観がない者には腑に落ちにくい。

結局、神の御業にリアリティを感じるか否か、これに尽きる映画。



神(と悪魔)は本当にいると信じている層が喜ぶ作りなので、それ以外の人が楽しめないのは当然と言えるかも。何事も偏るとよくない。

★★

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