るろうに剣心

●るろうに剣心
●るろうに剣心/京都大火編
●るろうに剣心/伝説の最期編

監督:
  • 大友啓史(『ハゲタカ』)
出演:
  • 佐藤健(『仮面ライダー電王』)
  • 武井咲(『今日、恋をはじめます』)
  • 青木崇高(『逆境ナイン』)
  • 蒼井優(『ハチミツとクローバー』)
  • 江口洋介(『戦国自衛隊1549』)
  • 伊勢谷友介(『CASSHERN』)
  • 神木隆之介(『妖怪大戦争』)
  • 三浦涼介(『超星艦隊セイザーX』)
  • 藤原竜也(『カイジ』)
  • 福山雅治(『容疑者Xの献身』)



言わずもがな90年代に一世を風靡した剣客漫画の実写映画化。先日の金曜ロードSHOW!で3作連続放送していたのでまとめて見てみました。1作目は2年前に放送したものがHDDに録りっぱなしで残っていました。

結論から言えばよくできたチャンバラ映画でした。1作目はマンガチックさが多分に残っていますが、2、3作目はビッグバジェット作品にランクアップ。思っていたよりもアクションに見応えがあり、VFX等も頑張っていました。

私はこうした実写化の際の原作再現にはそれほど固執していません。ただ似せるだけのコスプレ劇になるよりも実写としてリアリティをいかに持たせるかの方が重要と思っています。比古清十郎(演:福山雅治)の容姿はあれで良かったと思いますし、『20世紀少年』のそっくりさんキャスティングはネタ以上の価値はないと思っています。

とはいえ私は原作をアニメ化された辺りまでは読んでいて作品にはそれなりに思い入れがある人間です。「原作知らないから本作は純粋に楽しめたし最高」などと言う感想には付き合うつもりもありません。



本作は及第点に達してはいるけれど駄目な部分も目につく作品です。

1作目は続編を考えない独立した映画として程よい取捨選択でまとめられていました。左之助(演:青木崇高)や斎藤一(演:江口洋介)の雑魚キャラ化も緋村剣心という男を主役とした物語として間違ってはいないと思います。

問題は2作目から登場の四乃森蒼紫(演:伊勢谷友介)です。

1作目に未登場のしわ寄せで、終始、本筋から外れたところで剣心を追い続けるだけのキャラになってしまいました。映画内で剣心と直接的な因縁もなく、それでいて原作に寄せて最後の戦いにも参加させてしまったことでキャラとして薄っぺらくなっています。

原作の人気キャラで未登場というわけにもいかなかった事情もあるのでしょうが、この扱いならカットした方がマシです。

ここで3作品の物語に立ち返ってみます。

1作目は単独で成立し、2作目はバッドエンドで引き、3作目で決着、という『スター・ウォーズ』旧3部作と同じ流れですが、2作目は『~帝国の逆襲』ほどの満足感を得られていません。それは物語を締めるためのカタルシスが欠如しているからです。

それはそうです。剣心の戦いは最後の京都の町では雑魚相手の大立ち回りしかしておらず、志々雄の戦艦に乗り込んでも早々に海へ飛び込んで終わりだからです。2作目のクライマックスは剣心の物語とは無関係の蒼紫と翁(演:田中泯)の一騎討ちになってしまっています。

剣心と蒼紫が相見えて決着がつくのは3作目の中盤に差し掛かる頃。映画残り半分に差し掛かった頃にようやく因縁が生まれたキャラが最後の戦いに参加するからおかしくなるわけです。

どうせ改変するなら2作目の軸に四乃森蒼紫を据えるべきでした。

京都の町を駆け回っていた剣心が蒼紫と翁の戦いの場に遭遇。ここで剣心と蒼紫が戦うところを2作目のクライマックスとし、その後に剣心が志々雄の戦艦へ乗り込む流れにすれば良かった。蒼紫を2作目のメインキャラにし、3作目では最後の戦いまで未登場であれば最後の乱入も大いに盛り上がったはずです。



そして更なる問題点は3作目の映画オリジナル部分です。

剣心を斬首にするふりの一連の流れに全くと言っていいほど意味がありません。志々雄の戦艦を前にして浜辺で延々と大立ち回りができたり、手漕ぎボートでのんびり乗艦できるほど時間に余裕があるなら普通に乗り込めば済む話です。

志々雄(演:藤原竜也)の要求を飲み、剣心の手配書を配布したのは政府側が対戦艦用に砲台を設置する為の時間稼ぎだと明言しているのですから、それを脚本にも盛り込むべきで、剣心の縄が切られた瞬間、政府の砲台が志々雄の戦艦への攻撃を開始し、浜辺で十本刀の数名とやり合う役目は左之助と斎藤一にまかせ、剣心はその隙をついて早々にボートへ向かう、といった展開にすればよかったのです。

左之助は斎藤一が戦艦へ向かおうとした際にボートに無理やり同乗しようとするとかにしてもよいかと。

ちなみに剣心の罪状を読み上げる際にその裏に明治政府がいたことを暴露しますが、とりあえず読み上げたのが志々雄一派で、斎藤一が斬首せずに「これは一芝居打っただけ」という態度だったことで、後々、民衆を煙に巻いてうやむやにでもしたのでしょうかね。そもそもあのくだり全てが取って付けたような場面でしかありませんでしたが。



映画オリジナルのしわ寄せを一身に集めたのは薫(演:武井咲)でしょう。3作目ではヒロインどころか弥彦と同レベルの脇役に貶められてしまっています。最後の戦いに赴く剣心を見送るヒロインの役目を恵(演:蒼井優)に奪われるとは酷すぎます。

薫の入院している病院に左之助たちが駆け付ける場面を早々に描写し、その後、薫が目を覚まし、剣心が修行をしていると聞いた薫が道場で剣心の帰りを待つと決めて東京に戻り、最後の戦いに赴く前の剣心が道場で薫と再会し、薫が剣心の着物を渡す、というヒロインとしてきちんと描写してほしかった。恵はそんな2人を陰から見守るぐらいで十分です。

ちなみに道場の場面には警官隊が乗り込んできますが、せめて道場に入る剣心を見掛ける警官の姿をインサートしておくべきでしょう。そもそもこのシーンは色々と酷く、剣心が抗う行動は不要ですし、警官隊が無抵抗の人間を袋だたきにするところなど作り手の悪意さえ感じます。

あの場面は当初から剣心は志々雄の戦艦へ乗り込むため政府に出頭するつもりと見るべきで、警官隊も政府にとってキーパーソンでもある剣心に無駄に怪我を追わせる行動はすべきではない。末端に真実が知らされていないにしろ、警官"隊"が出動するとなれば上には報告は行っているはず。警官に囲まれ素直に従う剣心、そして次のカットで警察署とするだけで十分なシーンでしょう。

あとは十本刀がまともに描写されていないのは時間の関係で仕方のないこととは思いますが、それならばいっそ五本刀にしてしまうとか、5人ほど格下設定にして一斉にやられる場面を作るかして数をきちんと描写してほしかったですね。もう少し悪役なりのドラマも見せておいてくれないと最後の駒形由美(演:高橋メアリージュン)の悲哀など通り一遍で感情に訴えてきやしません。メンバーの過去を他人が台詞で説明してしまうのもあまりにもやっつけ過ぎです。



薫と蒼紫の扱いと3作目のプロット以外はよかった。特にアクションは楽しめたのでTV放送で見た身としては十分満足できる作品でした。

★★★(1)
★★★★(2)
★★(3)

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