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zoom RSS クールジャパンと児童ポルノ禁止法

<<   作成日時 : 2013/06/05 21:49   >>

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昨年、NHKスペシャル「追跡!世界キティ旋風のナゾ」という番組がありました。

番組は経済産業省において開かれた「クールジャパン大会議」の様子から始まります。アニメやJ-POPといったコンテンツを世界に売り込もうというアレです。続いて経済産業省メディアコンテンツ課の課長補佐とかいう人が「日本のサブカルチャーは凄いと言われていても海外輸出比率はたった5%」だと数字を提示します。

売上高の比較対象は自動車産業で

コンテンツ ■■■■■■■■■15兆円
      ↑海外比率5%/7000億円
自動車産業 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■30兆円
      ↑海外比率47%/14兆円


と示されます。

このグラフの第一印象は「ああ、国内ではコンテンツ産業と自動車産業が同規模だっけ」と思ったぐらいで、日本のアニメ等が海外で金になっていないことなんてアニメファン界隈ですら周知の事実です。

ドラえもんやアンパンマンのような児童向け以外のクールジャパンと称されるハイティーン向けの「ANIME」は所詮一部好事家にウケているだけで、なおかつ正規にソフトにお金を落としてくれるファンの数は日本国内とは比較にならないほどに少ない。

現在、クールジャパン推進などと公費を投入しようとする面々は、単なる物知らずか、知った上で秋元康でマネーロンダリングをしようとしているかのどちらかです。

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カウボーイビバップは海外で100万本売れた例外



そして番組では昨年の「東京国際アニメフェア」にて海外の声としてフランスのバイヤーにインタビューします。

年齢による視聴制限が厳しいフランス。会場の『峰不二子という女』を前にして本人は不二子は好きだと言いながらも「フランスではアニメは子供向けであり、女性の裸はNG」だと語ります。

フランスに限らず海外では未だに「アニメ=子供が見るもの」という認識であり、それはディズニーチャンネルやカートゥーンネットワークで放送される海外アニメを見れば一目瞭然。日本国内の漫画・アニメの市場の広がりと表現の幅は世界に類を見ないものと言えるでしょう。

日本のアニメが海外で人気があるのはまさにこの表現の部分であって、衆議院に提出された「児童ポルノ禁止法改正案」の漫画・アニメの規制はその魅力をスポイルするものです。

同バイヤーは「登場人物がセクシーで若すぎると問題で、18歳や21歳以上の登場人物が12歳や15歳に見えたら大問題」と続けますが、この「見える」というのが曲者。日本の漫画・アニメの表現の幅において劇画系以外は幼く見えがちなため大部分が引っ掛かります。

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逮捕しちゃうぞは逮捕されかねない



別会場の海外向けの商談の様子でも、アニメの登場人物が酒を飲んでいたり口紅を付けていたりしただけで「子供向けじゃない」と切り捨てられます。当の作品はOLを主人公にしたギャグアニメで、そもそも子供向けではありませんが、その作品を受け入れる市場が海外には存在しないということです。

ここで番組は邦画の売り込みの様子を挟み、一人の日本人担当者の意見として「日本は憧れの国ではなくなりドラマが売れなくなった」「日本のコンテンツは遅れている」「技術レベルも(韓国・中国は)そんなに変わらない」と語らせますが、アニメの話なのかドラマの話なのか錯誤させる構成で、番組の求める結論へと導いていきます。

「海外にコンテンツを売るには相手の国のニーズに合わせ内容を変える必要がある」

番組はその成功例として海外デザインの登用を積極的に進めたサンリオの方法論を「正しい」と結論付けて終わります。しかし、当然ながらキャラクタービジネスと漫画・アニメという表現メディアを同一論で語ることは無理があります。サンリオの海外デザイン戦略を比較するならそれこそ自動車産業が妥当でしょう。

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口の無いハローキティを女性蔑視だと言った人たちはどこへ



相手の国のニーズに合わせ内容を変える必要は確かにありますが、それは作品毎のローカライズ作業が必須であって、最初から海外向けに作ることとは別です。所詮現地の好みは現地の人間以上にわかるはずもなく、ディズニーのような最大公約数的な作り方には世界を相手にするそれなりの規模が必要になります。

「児童ポルノ禁止法改正案」の漫画・アニメの規制は、この海外向けのローカライズ作業を創作の段階からやると言っているに等しい。

ローカライズで変えられた例として『ワンピース』の名前がよく挙がりますが、海外ではあの絵柄でさえ女性キャラの胸元は隠され、成人キャラでもタバコは消され、酒も飲まず、銃は消え、暴力表現は全てマイルドに修正……と原形を壊しまくり、それでも一般人気は得られず、海外のANIMEファンにはそっぽを向かれたという代物です。

日本では思想・表現のタブーが少なく、海外のあらゆる表現はほぼそのまま入ってくることから、どれほど日本の環境が素晴らしいかの実感がない人も多いでしょう。

大人の女性なら想像してみて下さい。鞄は実用的であればそれでいいのだから過剰なデザインや材質は必要ないと規制された世界を。洋服は着れればいいのだからとデザインは画一化され露出も許されない世界を。ムスリムの女性の服装を思い浮かべてみて下さい。児童ポルノ禁止法改正案に漫画・アニメの規制を盛り込むとはそういう「特定の誰かが望む秩序」が作られる行為だということを。

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パワパフの暴力表現のさじ加減は日本人には掴めない



そもそも規制派の弁による「アニメ=子供向け」だというなら子供が子供の世界で起こる描写を見ることに問題はないはず。

例えば『熱血最強ゴウザウラー』第24話。小学生がクラス旅行で温泉に行き、女子は発育話を、男子は女子のブラジャーで盛り上がるガキっぷりを披露する学園ドラマは実に健全です。これを作るなと言うのでしょうか。子供時代を懐かしむ大人が見てはいけないのでしょうか。

規制派は大抵それは規制の対象にはならないと言います。しずかちゃんのお風呂シーンも『となりのトトロ』の入浴シーンも「ちゃんとした」作品は問題ないと。でも実際はしずかちゃんの裸でもサツキの裸でも欲情する人間はいます。個人の嗜好の違いをどう区分付けるのでしょう。これは人の感情を規制すると言っているに等しいことです。それが犯罪に結びつくかは別の問題なのにです。

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ドラマ性においてアニメとカートゥーンは根本的に異なる



ジャニーズや韓流男優を見てその男に抱かれる妄想をする女性がいたとして、彼女らを矢口真里と同じように断罪するのでしょうか。

頭で考えることと実行に移すことには天と地ほどの差があります。漫画やアニメも人が生み出すただの「絵」です。妄想と現実に差があるように2次元と3次元の間にも天と地ほどの差があります。それでも今現在、ただの絵を3次元の性描写規制と同じルールで規制しているわけで、これは必要以上の規制は既にされていると言ってもいいぐらいです。

「都条例」の際にも書きましたが、この問題は公的機関による(個人的感情に基づく)表現の検閲などではなく、現行法内において年齢制限や販路といった規制をきちんと運用して対処すればいい話です。

それでも漫画・アニメを規制すべきと言う人がいるなら、それはもう「漫画やアニメなんてドラえもんとアンパンマンだけでいい、美少女アニメなんて気持ち悪いものは無くなってしまえ」といった感情論しか残っていないことと思います。それを真っ当な言い分とするのであれば未成年への性的欲求を煽る物は世の中から全て消してみて下さい。ミニスカートのアイドルも写真集も学校での水泳の授業も海水浴場も男性アイドルの胸元を開けた衣装も腰を振るダンスも小学生の半ズボンも何もかもを排除して下さい。それがあなたの望む世界なのでしょう。



クールジャパン推進を謳いながら表現を規制するという。その表現の振り幅こそがクールジャパンをクール足らしめているというのに。語弊を承知で言いますが、海外のアニメ市場にはドラえもんやアンパンマンしかありません。しかし、日本のアニメ市場は芳醇です。判で押したような工業製品とは違うのです。

とにもかくにも私としては『謎の彼女X』が生み出せないような日本のアニメ界になってもらっては困るということです。

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人を選ぶ作品が生まれる喜びを知らない人は不幸だ

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